2006年04月15日

サウンド・オブ・サンダー

sound.jpeg

レイ・ブラッドベリの世界を完全映像化!との宣伝文句につられて見てしまった。

結構笑えて楽しかった。といったら失礼だろうか?
なんとまあ、レトロなチープさ。
B級SF映画が好きな人にはとっても微笑ましく、お勧めだ。

レイ・ブラッドベリは確かにレトロな作家ではある。
でも昔から大好きな作家の一人なのだ。
SF作家というよりは、ジャンルにこだわらずに幻想的な物語を描く人で、
独特な情緒と情感溢れる描写で、読むと必ず胸がキュンとするような、ノスタルジーを感じさせる。
永遠の少年のような、そんな作家。


この映画の元になったのは、邦題「いかずちの音」
1952年に書かれたごくみじかい短編である。

2055年。
タイムマシンを使って先史時代へに行き、そこで動物を仕留めるツアーが売り物のタイム・サファリ社。
エッケルズは、白亜紀へ行き、そこでティラノ・サウルスを仕留めるツアーへ参加する。
ツアーで厳守するべき決まりは、決められた動物以外は絶対に撃たないこと。
タイム・サファリ社が設置した通路から何があっても出ないこと。

標的はすぐに死ぬ運命の動物を探して、事前に決められている。
通路から出てしまった場合、未来にどういう影響があるのか、だれにも解らない。

ティラノ・サウルスの発する、いかずちのような声が響き渡る。
エッケルズは動転してふらふらと通路から踏み出してしまう。

「靴にちょびっと泥がついた。それだけじゃないか!」エッケルズは言う。

そして彼らは現代へ戻ってきた。
部屋は出て行った時と同じようだが、何かが違っていた。
全身で感じる世界の異質さ・・・
部屋の外は、建物の外の世界はどんな有様なのか。
だが今はっきりと解るのは、今朝読んだオフィスの壁の文字が変わってしまっていることだった。

彼が靴にこびりついた泥をかきとると、そこには蝶が一匹、死んでいた。


なんとなく嫌〜な後味の悪さが印象に残る話だ。

映画では、ここまでが導入部。
この後に次々と起こる進化の波が、植物から始まり、昆虫、動物、人間、と段階的に襲ってくる。
壊れてしまった世界を直すために、過去へもう一度戻って修正する、というのが映画の本題だ。

まず、原作と違って何が原因かがなかなか解らない。
原因を突き止めたと思ったら、今度はいろんな怪物が襲ってきてなかなか過去へ行けない。
そうこうする内に仲間は次々と死んでゆく。
過去を修正できれば、皆生き返る、というなんとなくお気楽な考えのもと、どんどん進む主人公。

テンポはいいので引き込まれるのだが、時折やってくれる。

一番笑えたのは、天井からぶら下がり、寝息をたてるマントヒヒ恐竜の集団。
最後に笑わしてくれたのは、進化の波が人間まで来た時のなんだかよくわからない両生類キャラクター。

笑いすぎてその後の展開がよく解らんかった・・・


主人公のトラヴィス・ライヤー博士役はエドワード・バーンズ。
いい男なんだけどいまひとつインパクトに欠けるような。
悪役のタイム・サファリ社の社長役で名優ベン・キングスレーが出ていて、こちらの方が印象に残る。

ところで、タイトルの「サウンド・オブ・サンダー」とはもともとティラノザウルスの雄たけびであり、
あまりの恐ろしさに客のハンターが通路から離れてしまう、ことになるのだが、
この映画では、肝心のティラノザウルスが意外とちゃちでディズニーランドの恐竜みたいなので、タイトルがピンとこない。
説明も無いのできっと不思議に思ってる人が沢山いるんだろう。
別に原作に忠実にしなくても映画に合わせてタイトル付ければ良さそうなものだ。
原作にあやかるしかなかったんだとしたらちょっと悲しい。

なんだか褒めてるんだかけなしてるんだかよく解らないレビューになってしまった。
B級としては、極上の怪作だと思うんだけどな。


結構楽しかったのに、映画のエンドクレジット終わった後に劇場のシートに残ってたのが私一人ってどういうこと?


原作はこちらに。最近再版されたらしい。
太陽の黄金の林檎
レイ ブラッドベリ Ray Bradbury 小笠原 豊樹
4150411077


私が持ってるのは新潮文庫から出ていた「恐竜物語」
恐竜物語
レイ・ブラッドベリ
4102211012

ブラッドベリの、恐竜が出てくる短編ばかりを集めて、豪華なイラストをふんだんに収録したもの。
恐竜好きならば見た途端嬉しくなってしまう本。

posted by ruru at 00:06| Comment(0) | TrackBack(4) | 映画いろいろ... | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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