2005年02月15日

オペラ座の怪人 ファントムよりも哀しいかもしれないラウル

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冷静になって考えたらこの映画で一番哀れなのはラウルではないでしょうか?

何もかも持っている完璧な王子様。クリスティンを全力で愛し、守ろうとする。
クリスティンに愛されるのは当然。

でも彼女の心が揺れるのがなぜか、あの時点でのラウルに理解できただろうか?
クリスティンと愛を確かめ合い、自分の物だと思っていた。
彼女は孤独から父親の影を追っているだけなのだと。
そこにファントムはつけ込んでたぶらかしているのだと。
ラウルは彼女を孤独から導きだす光となることを望んでいた。
ファントムの罠からクリスティンを救い出すのだと思っていた。

だからこそ、クリスティンをファントムを誘い出すために舞台に立たせることが
できたのだ。
クリスティンも頭ではそう思っていたのだろう。


ところが、ファントムとクリスティンの関係は、恋よりも、愛よりも深いところで
惹かれあう物ではなかったか。
舞台の上で、お互いを理解し、激しく求め合い、お互いのみが相手を高めることが出来る、
魂と才能の共鳴とでもいうべき姿をまざまざと見せ付けられて、愕然とし、
なすすべもなく涙するラウル。

彼はこのとき敗北を感じたのではないだろうか。初めて二人の関係を理解したのだ。
おそらくはクリスティン自身も。

ラウルが決して届かない領域で二人はつながっている・・・

でも彼はあきらめない。いくらお互いが求め合っていてもそれが結果、破滅的なもので
あるからには、彼女は救い出さなくてはならない。
そして、彼女が抜け出すことを望んでいるのも知っている。(矛盾してるかもしれないけど)

最後の決断をしたのはクリスティン。彼女の愛はラウルのもの。

でも、たぶん、クリスティンは指輪に象徴される(と私は思っている)彼女の心を
ファントムに残してくるのだ。

二人の生涯は幸福なものであっただろう。
ラウルはクリスティンのすべてを包み込み、全力で彼女を愛しただろう。
クリスティンもラウルを一生涯愛しただろう。彼女は決断をしたのだから。

でも、ラウルは心のどこかで、ファントムだけが彼女に贈ることができたものに、
きっと敗北を感じながら生きてきたのではないだろうか。

そして、映画のラスト、よき妻、よき母として一生を共にしてくれたクリスティンの墓に
ファントムの思い出のオルゴールをそっと捧げるのだ。

この映画だけのこのラスト、私は結構好きです。



posted by ruru at 19:08| Comment(5) | TrackBack(1) | オペラ座の怪人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。一週間前に映画の「オペラ座の怪人」を見て、すっかりハマってしまい、オフィシャル・ブログを辿っているうちに、こちらの大変興味深い感想を読ませていただきました。ある意味での「ラウルの敗北」説は、私も共感できました。ファントムも草葉の陰で喜んでいることでしょう((笑)?)

・・・他にもコメントをさせてくださいませ。
(すみません。語る場が無いもので、つい・・・(^^;)

>クリスティンも頭ではそう思っていたのだろう。

そうですよね。彼女はとても恐れていた。でも、2回目に見たときは、彼女が恐れているのが、ファントムに連れ去られることではなくて、ファントムに心惹かれてしまうことを恐れていたのではないかという気もしました。

ポイント・オブ・ノーリターンは、微妙で複雑な心の推移がスリリングな場面ですよね。ステージ上の演出と現実がシンクロしているようでドキドキします。でも、最初見たときには理解しづらい部分でもあったんです。「魂と才能の共鳴」という言葉は本当にしっくりきます。目からウロコというか、もやもやがスッキリしたような感じです(^^

>そして、彼女が抜け出すことを望んでいるのも知っている。(矛盾してるかもしれないけど)

ここもよく分かります〜!矛盾こそがドラマですよね(^^

>クリスティンは指輪に象徴される(と私は思っている)彼女の心をファントムに残してくるのだ。

おお、指輪を心の象徴と思われましたか。私もクリスティーンがファントムに少しの心を残したところが好きだし、尚更切ないな〜と思っておりました。これについては、もしかしたら、、そしてお邪魔でなければ、「好きなシーン」のところにでも書かせていただきたいと思います(^^

>二人の生涯は幸福なものであっただろう。

本当に。穏やかで暖かい人生を共に歩んだのでしょうね…
「完璧な王子様」よりは、欠落した人間のファントムにひきつけられますが、ラウルとクリスティーンはお似合いだし、応援してしまいます。(^^

>この映画だけのこのラスト、私は結構好きです。

いいですよね〜。指輪のついた赤いバラも涙をそそります(;_;

長々としかもなれなれしく失礼いたしました(_ _
それにしてもジェリー・バトラーの表現力恐るべし!ですね。
ジェリーだけでなく、この映画では、キャラクターの内面を深く掘り下げてくれたような気がします。
配役ハマリ過ぎ!
Posted by オペラ座の変人 at 2005年02月18日 11:21
オペラ座の変人さま

コメントありがとうございます。
同じように感じてくださった方がいらしてうれしいです!!
Posted by ruru at 2005年02月19日 18:39
初めまして。
先日、オペラ座の怪人劇団四季を見て、その日のうちに二度映画をみてしまいましたw

マンハッタンの怪人、読んだ事はありますか?続編ですが。
調べていくうちにこれにたどり着いたのですが、読んだあと、なにがなんだかわからなくなってしまいました…
私も、ruruさんとほとんど同じ感想を持っていたのですが、それが通じなくなってしまったというか…^^;

物語をふかく掘り進めていくうちに鍵を握っているのはたいてい、主人公に近い脇役ですよね。
それによって、主人公の見方が変わってくる…

ruruさんの感想、とてもすばらしくて大好きです!


まとまりのないコメントすみません;
Posted by AMuuuu at 2013年04月28日 14:08
昨夜、ファントムの悲しみに胸が締め付けられる思いで映画を見終わりました。どうしようもなく可哀想で忘れられなかったのですが、貴方の素晴らしい解釈のおかげで落ち着きそうです…。ファントムは不幸ではなかった……不思議と惹きつけられる物語ですね。心より感謝致します。
Posted by 通りすがりの者 at 2015年10月20日 17:10
通りすがりの者 さま

コメントをありがとうございます。
10年も前の記事にコメントを頂けることに驚きと嬉しさを感じています。
オペラ座の怪人、今でも時折思い出してはあれこれと思いを馳せる、大切な作品です。
ぜひぜひ、しばらくファントム病に浸って下さいませ(笑)
Posted by ruru at 2015年10月20日 21:33
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Excerpt: 人生を分かち合う『わたしの側にいて、それだけで良いのだから』言われてみたい。いや、死ぬまでに一度言ってみたい。■ストーリー19世紀パリ。賑わう絢爛豪華なオペラ座。そこに住み着いている怪人が起こすさまざ..
Weblog: 女子大生おじょ日記
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