2005年04月28日

ファントム ースーザン・ケイー 読後

ファントム〈上〉

映画にはまり、原作にはまり、ずいぶんたってからやっと手を出した「ファントム」

本を開いて、まず目次の前にうなってしまった。

愛の対象は、自分で選べるものではない・・・・・  −エリック

うー、最初から反則だよ

そして始まる、エリックが産まれてからクリスティーヌにめぐり合うまでの壮大な物語・・・
あの原作のラストに少しだけ明かされるエリックの過去を元に、よくここまで創作したなーと感服感服。

前半を読んで感じたのは、お互いを愛し、愛されるのを求めているのに、不幸にもすれ違ってしまう様。

何処へ行っても、彼は一人だったわけではない。
彼に愛情をそそぐ人、信頼関係を築く人がいつもいて、彼の天才性は発揮され、それは認められる。

ところが、悲しいことにその顔の醜さがトラブルを招き、それに対して自分でコンプレックスを
積み上げ、そのコンプレックスがまた不幸なすれ違いを招く。
そんな出来事の数々に彼は傷つき、激情に身をまかせ、心を病んでいく。

母親との愛憎もそうだけど、私の心に残ったのはジョバンニ編。
二人の築いた関係が永遠に続けばいいと思わずにはいられない。
ジョバンニの後悔と、エリックの絶望が心に痛かった・・・
誰が悪いわけではないことが、尚更悲しい。

クリスティーヌとめぐりあってからのクライマックス。
スーザン・ケイ版では、クリスティーヌはずっとエリックの方を愛している。
悩み、怯えていたことは、一緒に生きられるかということだ。短い間だとしても・・・

原作や映画に劣らない感動的なラストなのだが、ちょっとラウルがあまりにもあわれなので可愛そうになってしまった。
彼は最初から最後までクリスティーヌの愛を得ることはできない・・・?!


後半以降に出てくるエリックは、私は不思議と原作エリックとも、ジェラルドファントムとも、かぶることはなかった。
もっと前に読んでいれば、また印象が違ったのかもしれないけど。

でも、ファントムの仕草のセクシーさはやっぱジェラルドファントムへつながるんだろうなー

その手の深く抑制された官能
 

これだ・・・・



感じたことは沢山あるのだけど、きりが無いしまとまらないので、また機会があったら少しずつ書いていこうと思う。


posted by ruru at 07:44| Comment(14) | TrackBack(0) | オペラ座の怪人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
読破されたのですね。
もう一度読みたいと思いつつも、辛いのがわかっているのでなかなか・・。
映画を何度も観ているとラウルの良さもよくわかるので彼の辛さも又堪らない・・。

>この手の深く抑制された官能
ここも堪らない。

小出しでいいので感想お待ちしております。
Posted by momo at 2005年04月29日 16:53
ジョバンニの章は切ないですね。
こちらのファントムは私がロンドンの舞台で見た役者さんのイメージと重なります。
(3回観たうち2回がこんな感じの人でした。)
私は原作のエリックに同情し、ジェリーファントムに共感し、スーザンファントムには惚れます。
ラウル…「マンハッタンの怪人」の方がもっとかわいそう。(この扱いは…)
どうも怪人ファンには好かれていないようですね、彼。
またの感想を楽しみにしています。
PS?ナーディルが「そんなことをするために生き長らえてきたと思うのか。」
と言うところ、ちょっと意味不明と思ってたら、
原書では「その前に私を殺してしまうのだろう。」とかだったらしいですよ。
原書で読みたいな。なんで絶版なんでしょうね。
Posted by emily at 2005年04月30日 00:30
ええ、噂では。故に「マンハッタンの怪人」は当分は読まないかしら。
絶版ですか。映画の方も翻訳騒動がありましたが、訳者の思い入れとか諸々あるし、ワンクッションあるのは感情のひだというか・・難しいですよね。絶版だともう手も足も出ませんね。

最後に・・映画から入ったファンなのでクリスに惹かれた要因も実はちょっと不服なのでした。
Posted by momo at 2005年04月30日 18:19
今晩は。昨夜さんざんおしゃべりさせてもらったから、もう良いのだけど、
連休なのでちょこっと覗かせてもらいました。
momoさん「マンハッタンの怪人」不満はありますが、ラストは結構感動的でしたよ。
(どうもこれがミュージカル「オペラ座の怪人2」の原作になるはずだったらしい。)
「ファントム」読んだの10年くらい前です。あの頃はサラ狂だったので
舞台の続きで読んでいたように思います。
今私は人にものを教える仕事に携わっています。小さな、小さな世界ですが
ちょっぴりオペラ座な世界です。たまにダイヤモンドの原石のような、
光る、しかしまだまだ開花していない人に出会う事があります。
そういうものをクリスティーヌの中に見たんじゃないでしょうか、ファントムは。
それにしても、そろそろ本当に日常へ戻らないと。
Posted by emily at 2005年05月01日 01:02
>emiryさん、情報ありがとうございます。
そうですね。”才能”の要素に惹かれたという方がしっくりきます。
「マンハッタンの怪人」は別物として読もうかしら?
Posted by momo at 2005年05月02日 00:15
momoさん

映画のラウルを見ていると、クリスティーヌはファントムを忘れることはできなくても、それなりにラウルを愛して生涯を過ごしたと思えるのですが、スーザン・ケイ版のラウルはちょっと私も辛いです。

エリックがクリスに惹かれた理由、これも確かに、そこに来ないで欲しかった・・・と思ってしまった所。

あくまでもファントムの物語なのですねー。
Posted by ruru at 2005年05月03日 00:11
emilyさん

「マンハッタンの怪人」はまだ読んでいませんが、やっぱりラウルは可愛そうなことになってるんですね。
ラウルの地位向上に貢献したパトリック・ウィルソンは偉大・・・?!

「そんなことをするために生き長らえてきたと思うのか。」の辺りのやりとりは、私も意味不明というか、誰が言ったんだ?というセリフが続いて混乱していました。
なるほど、そういうことなら理解できます。
そうですかー原書は絶版なのですね。映画効果で再販されないかしら?

ダイヤモンドの原石を発見した喜びと感動、それを自分が磨く喜びって格別なのでしょうね。
そういう体験ができるemilyさんもうらやましいです。

>そういうものをクリスティーヌの中に見たんじゃないでしょうか

私もそう思います。それと同時に、彼の才能、彼自身と共鳴するものを感じたのでしょう。
Posted by ruru at 2005年05月03日 00:13
emilyさん、momoさん

映画にしろ小説にしろ、翻訳者の解釈のクッションが入ってしまうのって、仕方ないけど混乱の元ですよね。
戸田さんの訳の批判は今回が初めてではありませんが、これというのも彼女が訳した物が多すぎるというのも原因の一つだと思うんです。
これこそが理解できないことで、意訳しすぎなのは彼女だけではないはず。
もっと酷いのはいくらでもあります。
最近、テレビで同じ映画が何度も流れていて聞き流している事があるのだけど(スカパー契約してるもんで)そんな事言ってないぞ!という字幕がしょっちゅうあって結構気になる・・・
それを考えると、生涯で今まで見た映画の中で、勘違いさせられていたり、鑑賞しそこなっている部分とかが意外とたくさんあるのかもしれないな、と最近よく思います。

Posted by ruru at 2005年05月03日 00:22
翻訳物はどうしても言語の違いや翻訳者の視点やらが入って純粋にとは行きませんね。
映画字幕と原語の不一致は多少しかたないと思っていましたが、今回のはショックでした。
一番のお気に入りミュージカルで思い入れ強かったから…。
これ、初演から18年も経ってるし、劇団四季の公演で日本上陸済なんですよね。ファンは皆歌詞を知っているんです。だから訳する方も通常の新作映画より資料多く手に入り易かったと思うんですけど。また戸田さんくらいの地位の方ならミュージカル関係者との打ち合わせも容易に出来たはず。翻訳・通訳に関わらず、念入りな下調べは必要じゃないでしょうか。それが出来ないのであれば、仕事量をセーブする。できない仕事まで引き受けるのはどうかな。私もたいした人間じゃないし、ナマケモノです。私より若くて優秀な人沢山いるんですよ。いつまで先生続けてられるか分からない。だから、若い人が出来ないこと、経験者ならではの面を伸ばしていきたいな、と思ってます。どんな職業の人だってそうでしょう。
戸田奈津子さん、高校時代は憧れていたんですよ。さすがベテラン!と思えるようなワザを見せて欲しいです。「他にも酷いのがあるからOK」みたいな態度はとって欲しくないなぁ。
ところで「ファントム」原書、USアマゾンで中古を頼んでしまいました。高いんだよ〜!
(そんなものに手を伸ばすバカな私…)ファントムがクリスに一目ボレするところ、いつもサラ・ブライトマンとの出会いを思い出します。思わずレズになりそうなくらい魅惑的でした〜(笑)。今も心変わりしてないよ!
Posted by emily at 2005年05月05日 00:23
ショック、解りますよ。私はロード・オブ・ザ・リングの時にかなりショックでした。子供の時から原作が大好きでしたから。せめて原作をきちんと読んでから訳してくださいよ・・・ってね。ベテランの彼女がそういう仕事をする事がショックだったんですね。オペラ座に関しては私に事前知識が少なかったにもかかわらず、これはいくらなんでも・・・!と思わせるお粗末さ。過去あれだけ批判をされたにもかかわらず今回のこれにはがっかり、本当にがっかり。
ああ、だんだんいろいろな翻訳について気になってきた、そのうち別記事にしようかな。

emilyさん、USアマゾンで原書を手に入れられたなんてすごいですね。私、国外アマゾンは送料をみていつも断念してしまいます。
Posted by ruru at 2005年05月06日 03:45
指輪物語の方はよく存じてないのですが(実はレンタルDVD途中でギブアップ…)、想像はできます。センスなさすぎですよね。GWにお別れを言いに行ったらThink of me等3曲の歌詞カードを頂いて、そっちの方がましでした。ただ詩としてなめらかさが今一つ欲しいところ。。サラ・ブライトマンCDについてる訳詞はこなれてるけど、一部間違え(意訳しすぎ?)あり。最終的には詩人に監修してもらいたいですね。
USアマゾンでの買い物今回が初めてです。待てど暮らせどMovie companionが届かない事に業を煮やして思わずUSに走りました。その勢いで異様に高い中古品を頼んでしまった…。ホントおばかです。
Posted by emily at 2005年05月08日 03:16
詩や歌詞は言葉のもつ音が重要だから、訳すということ自体に実際は少し無理があるのかもしれませんね。英語で意味は解っても、ニュアンスを楽しめるほどには自分の英語力が届かないのがはがゆいばかり・・・
Posted by ruru at 2005年05月08日 22:39
理想を言えば翻訳家と詩人(訳する内容の専門家)が共同でできたらいいなと思います。日本語でも五七調で表現すればリズム感が出ます。100%は無理ですが、いいものができると思います。昔の翻訳者って文学者だったんですよね。今は訳するものの量が多いから、それは難しいと思うので、チーム組んでやって欲しいな。
Posted by emily at 2005年05月09日 16:05
>昔の翻訳者って文学者だったんですよね。

そういえばそうですね!

最近外国の歌を、日本語に訳した歌詞を付けて歌うことってなくなりましたね。昔のそういう曲って結構趣のある歌詞になっていたような気がします。
Posted by ruru at 2005年05月10日 03:21
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