2005年06月03日

キングダム・オブ・ヘブン

kingdon

5月は忙しくて延び延びになっていたのだけど、やっと観にいくことができた。

最近本当に歴史大作が多い。
私の最近の歴史大作ベストといえばアレキサンダーなんだが、その次の位置をあげても
よいかなと思った。
ちなみに、ダメダメだったのはトロイ。(トロイファンの方、すみません・・・)

ま、そんなくだらない順位付けはどうでもよいことで。

この映画は英雄物ではない。
そういう物を期待していくと不完全燃焼で終わってしまうと思う。
この主人公はカリスマ性のあるヒーローではないのだ。
(カリスマ性があるのは敵方の方だ・・・)


主人公のバリアンは鍛冶屋から立派な騎士に成長する。
しかし彼は地位としての騎士ではなく、あくまでも父から受け継ぎ、自分の信じる騎士の信念に基づいて
生きる。そして、常に人としての自分の信じる生き方を貫く。

彼は最後までただの人であろうとする。オーランド・ブルームはそれを抑えた演技でしっかり見せている。

しかしオーランド・ブルームっていい男になったものだ。
今まではどうもやさ男のイメージがぬぐえなかったが、いい俳優になったなと思った。


鍛冶屋だった彼の家に刻まれた言葉、

「よりよい世とするのが人のつとめ」

父から騎士として教えられる言葉

「恐れず、敵に立ち向かえ
 勇気を示せ
 死を恐れず真実を語れ
 弱気を守り正義に生きよ」

父の遺言は「エルサレム王に遣え、民を守れ」

十字軍の建前が意味を失った中で、奇跡的にヨーロッパとイスラムが共存し、休戦と平和を築いていたごく短い期間。
それはエルサレム王ボードワンとサラセンの王ハラディンとの個人的な相手に対する敬意で成り立っている危ういものだった。
死に行くエルサレム王に遣え、彼の亡き後はエルサレムの人々の為に戦うたバリアン。
彼はエルサレムを守ろうとしたのではない。エルサレムに住む人々を守る為に戦うのだ。

エルサレムを勝ち取ろうとするイスラム軍と、ただ家族を守ろうと必死で戦うエルサレムの人々。
バリアンが持つものは騎士の心と鍛冶屋の知恵だ。彼が鍛冶屋でなかったら彼らを守れたかどうか。
圧倒的な数と軍事力を持ちながら苦戦を余儀なくされたハラディンはついに和平を申し出る。
「エルサレムを明け渡せば、全員無傷で送り出す」
バリアンはエルサレムの人々を守ったのだ。

彼らにとってエルサレムとは何だったのか?

キリスト教、イスラム教双方の聖地でありながら争いの元となるエルサレム。

バリアンとハラディンの最後の会話
「エルサレムに何の価値がある?」
「何も無い」「でも全てがある」
こう答えるハラディンの笑顔がとても印象的だった。
そしてそれに答えるかのようなバリアンの微笑も・・・

この時代でのキリスト教というものが、いかにご都合主義に使われていたかというのも描かれていた。
キリスト教という名の下に行われる殺戮の数々。

キングダム・オブ・ヘブンとは?
現実にそれを築こうとした試みは失敗した。
だが、それは彼らの心の中にしっかりと築かれていったのだろう。

自分の良心に従って生きるということ。

最後に選ぶ道は違っていても彼らは信念に生きていた。


この映画、キャストがすばらしい。
地味ながら純粋な目をした主人公のバリアンを演じたオーランド・ブルームもすばらしかったが、
彼の父親ゴッドフリー卿のリーアム・ニーソン、
その旧友であり、ボードワン4世の軍事顧問ティベリウスのジェレミー・アイアンズ
同じく彼の同士で、後にバリアンを支えるホスピタラーという聖職者のデビッド・シューリス
仮面で顔が全くみえない高潔なエルサレム王を演じたエドワード・ノートン
バリアンと恋に落ちるエルサレムの王女シビラのエヴァ・グリーン
そしてなんといっても、サラセンの指導者ハラディンを演じたハッサン・マスードという人。

それぞれが本当に印象的で、魅力的だった。



まだ消化しきれない部分や鑑賞したい部分が沢山あるから、もう一度観にいってしまうかもしれない。


ついでに言ってしまうと、字幕がやっぱりまずいんじゃないかー?と思ってしまった。
この映画、長い割にはセリフがとても少ない。キャストの演技でじっくりと見せてくれる。
そこに入るセリフって結構重要だと思うのだが、どうも耳から聞こえてくるセリフと字幕にズレがあるような気がずーっとしていた。
ただ、その場で字幕なしですべて理解できるほどの英語力は無いのでなんか腑に落ちない思いを持って帰ってきたのも確かなのだ。
字幕担当は、やっぱりお馴染みのお方だった・・・
なんだかさ、薄っぺらになるんだよね、失礼ながら言わせてもらえば。


これもDVD待ち候補入り決定かな。
長い映画なのに、カットされたシーンがまだまだ沢山あるらしい。
ディレクターズカットはきっともっとじっくりと見せてくれる作品に違いないと期待・・・





この記事へのコメント
こんにちは。私も先月観てきました。
やはり、2回目を観にいこうと思っております。
当初、すぐ観にいくつもりはなかったんですが、オペラ座つながりの↓で
エドワード・ノートンが出ているのを知り、急遽行きました。
私は反戦映画として観ていました。
他にもよい役者さんが沢山出ているのですが、ハッサン・マスード・・・いいですよねー。
結構カットされているようなのでDVDを待たないと消化不良のままになりそうです。

ttp://blog.livedoor.jp/thekumi/archives/21520021.html#comments

字幕、条件反射でちょっとひきますよね。
でも字幕を見ないと理解できない英語力の乏しい私、ちょっと悔しかったです。
Posted by momo at 2005年06月03日 15:11
あ、反戦映画ですかー、そういう観かたもあったんですね。
とマヌケな私ですが、まだまだよく解っておりません(笑)

ハッサン・マスード・・・シリアのスター俳優さんだそうで。
そういえば、アレキサンダーの時もペルシャ王ダレイオスが魅力的でしたが、どなただったんでしょう?

エドワード・ノートンのファンでしたか。
彼、全身を隠しているにもかかわらず存在感と説得力がありましたね。

字幕はねえ、それだけで理解が変わってしまう事があるから、警戒しますね。
もしかしたら、あのセリフは本当は違うかもしれないって思うようになってしまったのもなんだか悲しい。

紹介していただいたサイト、すごいですね、もりあがってますね。そのうちおじゃましちゃおうかしら。
Posted by ruru at 2005年06月03日 23:42
エドワード・ノートンに限らず、演技が上手で知的な俳優さんが好きなんですよ。
この映画にはてんこ盛りじゃないですか?

勝手に紹介しちゃってすみません。
こちらはオペラ座にはまるきっかけになった所なんです。
ruruさんのレビュー、いつも淡々としていて面白いのでまた覘かせていただきまーす。
Posted by momo at 2005年06月05日 06:13
>演技が上手で知的な俳優さん・・・この映画にはてんこ盛りじゃないですか?

本当に。てんこ盛りでしたねぇ。
だからこそ、じっくりと演技を鑑賞したいんですよね。


淡々としてましたか(笑)
こんなマイペースの所でもよろしければ、また覗いてやってくださーい。
Posted by ruru at 2005年06月07日 00:51
観てきましたよ。音楽と映像が素晴らしいですね。これもまた叙事詩って感じで。私はキリスト教云々と言
うより形骸化したしきたりの虚しさを感じました。誇り高くあくまで王族として生きようとするシビラと一個の人間として生きるバリアン。民衆の自由と平和の為に戦う点はアメリカ人の心をくすぐるのでは。でもその理想の為に平和が遠退いている現実は皮肉なものですね。最初は無神論者の立場なのかなと思いましたが、最後の方でやはり作者は神を信じているんだなと思いました。
ところで、男を大人にするのは男なんですね。母親だけじゃダメなんだ。
今回も字幕の評判が芳しくないのでなるべく見ないようにしました。そのせいかあまり気にならなかったんですが、水戸黄門的でしたね。それに説明のし過ぎで味を削いでることに彼女は気がついてないのかな。

Posted by emily at 2005年06月07日 10:25
>形骸化したしきたりの虚しさ

キリスト教が宗教ではなくただのしきたりに成り下がっている様子が沢山出てましたね。
だから無神論に走ると言うことではなく、主人公達はキリスト教という宗教の原点へ戻ろうとしていたのかもしれないと思いました。

そういえばこの映画に母と子の関係というのは出てきませんでしたね。

字幕、私は見ないことには半分しか理解出来ない。
それも悲しいのでいいかげんブラッシュアップを図らねばと思う毎日です。
emilyさんのように、なるべく見ないようにしても映画が理解出来る位になれたらいいな・・・
Posted by ruru at 2005年06月10日 02:42
>原点へ戻ろう
初心忘れず。何のためにそれをするのか…常に自分に問う。それは何事にも大切ですね。

今回は運良く知ってる表現が出てきてくれたので何とか分かったのですが、やはり字幕に助けられている面は大きいです。ケーブルTVでインタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア見たら、うーん、難しい…。
(ブラピのしゃべり方聞き取りにくいよう)
今どきのスラングも分からないですね。英語字幕を読めば勉強になるかな。字幕といえば、指輪物語のスメアゴルのせりふ"My precious..."日本語訳が意味不明でした。あれは原作の翻訳通りなんでしょうか。


Posted by emily at 2005年06月12日 19:25
スメアゴルの「My precious...」
いとしいしと・・・のことでしょうか?

これは原作の瀬田貞二氏の訳ですね。
こういう所だけは、原作翻訳に忠実というのも何か不思議な気がしますが。
ついでにスメアゴルのあだ名ゴラムは瀬田氏の訳ではゴクリです。
これはさすがにセリフの音に合わせたようですね。
瀬田氏の訳で結構笑えるのが、アラゴルンのあだ名ストライダーが「馳夫さん」てとこでしょうか。

オペラ座原作の状況と似てますが、指輪物語の翻訳も瀬田氏の訳は古くて読みにくいと言われています。以前の文庫は活字も小さくて読みにくかった。
今出ている新版は訳も多少読みやすくなり、活字も大きくなりました。
その分冊数も増えたけど。
Posted by ruru at 2005年06月13日 01:00
そうそう、いとしいしと・・・。目が悪いのか、どうも「石と」に見えてしょうがなかった。ゴラムがゴクリ、ストライダーが「馳夫さん」ですか。面白いですね。古くて読みにくいと言うことは、それだけ日本語が変わったと言うことでしょうか。それとも翻訳者の語学力が上がったのかな。(こなれてきた)「赤毛のアン」などは新訳の方が細かに訳してあるけど、趣があるのは旧訳(村岡花子さん)の方。古い人のほうが時代感覚を出せるのなら、あの字幕屋さんも結構古いから趣のある訳を書けていいはず、なんだけど。結局訳し手の言葉のセンス、なのかな?あれ、翻訳の話に飛んでしまいました!すみませ〜ん!!
Posted by emily at 2005年06月13日 10:12
指輪物語の場合、瀬田氏の趣のある訳には結構ファンがいます。可能な限り美しい日本語を使って訳したものだから。
それに、だいたいみな子供の時に読んだ人は瀬田氏の訳でインプットされてしまっているわけで・・・

>日本語が変わった

語学力が上がって訳のニュアンスの間違いを修正すこともできるようになったけど、安易にカタカナ表記に頼るようになってしまった傾向もあると思います。古い訳者さんは、うまくニュアンスを伝える日本語を使って訳すという努力をしていたけども、最近は適当な日本語がないとそのまま英語をカタカナで表記してしまう。
これは固有名詞に顕著だと思います。
映画のタイトルなんかもそうかな。
どちらが良いかはケースバイケースかもしれないけど。
翻訳は奥深いですね〜
Posted by ruru at 2005年06月18日 03:31
TBありがとうございます。
この映画なかなかよかったですね。前回の「トロイ」でなさけない役をしてたオーランド。でも今回はエルサレムの王をして活躍しました。闘いのシーンも迫力があってよかったです。
Posted by あっしゅ at 2006年04月27日 20:58
オーランド、いい男になりましたねぇ。
「パイレーツ〜」も楽しみです。
Posted by ruru at 2006年04月28日 03:07
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